宗教関係の新聞として著名な中外日報社(本社・京都市)の読書面である「中外図書室」で、『火山と日本の神話──亡命ロシア人ワノフスキーの古事記論』を紹介していただきました。
「スサノオの涙は灼熱の噴石」というタイトルで、ワノフスキーの神話論・古事記解釈について、以下のような紹介がなされています。
イザナミ、スサノオ、オオクニヌシなどは火山の神であり、アマテラスやニニギは火山を鎮め、大地を統御する神とする。イザナミの場合、日本列島の島々を出産したことこそ、その根拠であり、また亡き母を偲んで流し、世界に災厄をもたらしたスサノオの涙は、火山から噴出した蒸気や石なのだという。
天孫降臨、神武東征などは国家の祖神が火山の神を鎮めていく過程を描いているとし、古事記は雑多な神話の寄せ集めではなく、一貫して「世界と国家の発生」を主題とする統合された壮大な叙事詩だと主張した。
(『中外日報』2016年2月26日付17面中外図書室より。転載許可済み)
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